母から突然のショートメールにはとても驚いたが、思い返せば1年間も連絡を取っていなかったことに気が付いた。
新学期が始まってから
いじめられるようになった。
毎日嫌そうな顔をしながら
学校に行ってるし、
お兄ちゃんに会いたいって
毎日言ってる。
長女も会いたがってる。
お兄ちゃんとの関係を壊したのは
私と課長だって泣き叫んでた。
ほんとその通りだよね
ごめんなさい。
こんな母親で本当にごめんなさい。
許してもらえるなんて思ってないけど
会ってもらえないでしょうか？
立て続けに送られてくるショートメールには妹たちが苦しんでいる様子や私に会いたがっていることが書き綴られていた。
家族と1年間も会わないことなんて今までなく、いつもそばにいるのが当たり前だったのにそれが当たり前ではなくなってしまった。
誰もいないことが寂しくて街コンで出会った女性にはたった2週間でフラれて、ヤケになって酒に溺れて体を壊した。
家族から離れようとマンションを売る決意を固めて色々準備したのに問い合わせもないまま終わって家族から離れることもできなかった。
会いたい気持ちが抑えきれなくなって母たちの住む6軒隣の玄関に向かい、意を決してインターホンを鳴らした。
母が出迎え、私の顔を見るなり泣き出した。
ショートメール見た
入って・・・
リビングに招かれて椅子に座った。
母たちが暮らすこの部屋に入ったのは初めてだったが辺りを見渡しても妹たちの姿は見えなかった。
ごめんなさい
なんで謝るの？
悪いのは私だよ・・・
俺が出て行けって言ったから
出て行ったんだろ？
家族を壊したのは俺だよ。
違うよ、全部私が悪いんだよ。
苦しい思いをさせて
本当にごめんなさい。
もう謝らなくていいから
俺が意地を張ってただけなんだよ
変わってないね・・・
本当にごめんなさい。
もういいから
ありがとう・・・
妹たちは？
2人とも仕事とバイトに行ってる。
課長は夜勤だから帰ってこない。
話していたらタイミングよく妹たちが帰ってきた
ただいま。誰か来てるの？
・・・
お兄ちゃん!!
お兄ちゃん!!
久しぶりだね
どうしたの急に？
2人に会いたくなったからさ
お兄ちゃん久しぶりだね!!
妹たちは私の顔を見て驚いていたけれど笑顔で歓迎してくれた。
1年ぶりの再会は空白の時間を感じさせないほど自然に元の家族の姿に戻っていた。
次回は「敗北宣言-家族と会うために課長に取り入ることしかできない無様な男-」を来週金曜日に更新します。
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