初代ウルトラマンは生みの親の望まぬ形(デザイン)でこの世に誕生した

ウルトラマン

 

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シン・ウルトラマンには初代ウルトラマンの特徴であるカラータイマー、目の覗き穴、背鰭が存在しておらず、その理由については公式サイトでも説明がされているが、この記事ではもう少し詳しく紹介する。

 

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デザインを担当した成田 亨氏はウルトラマンの脚本を担当した金城哲夫 氏から「いまだかつてない恰好のいい美しい宇宙人」との注文を受けてウルトラマンのデザインを行った

 

弥勒菩薩のようなアルカイックスマイルをヒントとした口元

能面のようにシンプルでありながら見る角度や陰影によって様々な表情を出す

ロケットから着想を得た銀色の肌

火星の模様からの発想による全身のライン

人間離れした長身痩躯の体躯

 

これらの特徴をデザインに取り入れ、造形家の佐々木明 氏とともにウルトラマンのデザインを完成させた。

 

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しかし、ウルトラマンのデザインは制作部の思惑により下記の3点が追加され、成田 亨 氏の望まない姿に変更させられてしまう

 

カラータイマー
ウルトラマンの1番の特徴であるカラータイマーは強すぎるウルトラマンに弱点を持たせることを意図して取り入れられた。

 

目の覗き穴
マスコミを招いてのスチール撮影会の際によろめきながら撮影をしている様子を見かねて視界を確保するために成田 氏自身がドリルで穴を空けた。
作成したマスクに自ら穴を開けるという行為は成田 氏にとって不本意なことであったが仕方なく行ったという。

 

背鰭
これも成田 氏のデザインには無かったものだがスーツのファスナーを隠すために追加された。

 

成田 氏自身はこの3点の特徴を大変嫌っており、後に自ら描いたウルトラマンの絵画には取り入れておらず、その悲しみが癒されないまま2002年に成田 氏はこの世を去った。

しかし皮肉にもこの3点の特徴は初代ウルトラマン以降のウルトラマン達の共通の特徴として取り入れられ世間にも受け入れられていったが、実のところウルトラマンは生みの親の望まぬ形(デザイン)でこの世に誕生したという事実はあまり知られていない。

 

 

しかし、庵野 秀明 氏はウルトラマンを今一度現代で描く際に成田 氏が目指した本来の姿、現在のCGでしか描けない成田 氏が望んでいたテイストの再現、オリジナルへの回帰を目指してカラータイマー、目の覗き穴、背鰭を排したウルトラマンの「真」の姿をデザインした。

 

↑2019年開催のツブコン

 

デザインが発表された時には微妙な空気が漂っていたが、庵野 氏のコメントを聞いて大きな拍手が巻き起こっていたことが印象的だった。
私もこのデザインコンセプトを聞いたとき予想の斜め上ではあるが大変納得のいくデザインであり「そうきたか」と思わず唸ってしまった。

続けて庵野 氏は「この想いが、わずかでも観客の皆様に伝わる事ができれば、幸いです」と述べていたが、私を含め初代ウルトラマンを愛している人たちにはしっかり伝わったと確信している

 

発表から3年が経過し、ようやく公開の時を迎える「シン・ウルトラマン」
本来の姿を取り戻したウルトラマンがどのような活躍をするのか楽しみでならない。

 

 

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